大阪大学が側わん症のレントゲンをAIで自動計測、専門医に近い精度で最速0.1秒に短縮
大阪大学大学院医学系研究科の藤森孝人講師らの研究グループは、側わん症のレントゲン画像から、背骨の曲がりや傾きを自動で計測するAI(人工知能)を開発した。
専門医の手動計測に近い精度で、計測時間は1枚あたり最速0.1秒だったと報告している。手術後の画像に写るスクリューやフックなどの金属器具も自動で検出できるという。
専門医に近い精度で最速0.1秒の自動計測を確認
大阪大学の研究グループは、側わん症の診療で用いるレントゲン画像から、背骨の曲がりや傾きを自動で計測するAIを開発した。米国7施設と日本2施設の計9施設から集めた1,471人、4,043枚の画像を用いてAIを開発し、これらとは別の米国1施設の177人、542枚の画像で性能を検証した。外部検証では、最も大きい曲がりを示す主カーブのCobb角の平均誤差は2.7°(相関係数r=0.99)、胸椎後弯は3.7°(r=0.91)だった。椎体の番号付けの正確度は0.97、インプラント本数の平均誤差は1画像あたり0.18本(r=0.99)だったと報告している。計測時間は1枚あたり最速0.1秒だった。
従来は手作業で1枚あたり約3~5分、計測者による差も課題
側わん症は、成長期に背骨が左右に曲がり、変形が進むことがある病気である。診療では病気の進行を評価するため、レントゲン画像上でCobb角をはじめ、多くの角度や距離を計測する必要がある。現在はデジタル画像上での計測が一般的だが、多数の指標を一つずつ設定する必要があり、医師にとって負担となっていた。従来、医師が一つずつ手作業で計測する場合、1枚あたり約3~5分を要するうえ、計測者によって3~8°程度の差が生じることがあり、同じ基準で評価しにくいことが課題とされていた。
研究グループは、画像認識を得意とするAI技術である畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて、正面および側面のレントゲン画像から、背骨、鎖骨、骨盤、大腿骨の位置を自動で特定した。特定した位置情報から、側わん症の評価に必要な角度や距離を自動計算する仕組みとなっている。また、腰椎と仙骨の境目などで椎骨の数や形に個人差がある移行椎の認識についても対応している。JPG、PNG、DICOMなどの画像をドラッグ&ドロップするだけで計測できるアプリケーションも開発したという。
事実関係の整理
- 情報の種類:研究発表(医学系研究)
- 発表主体:大阪大学大学院医学系研究科(藤森孝人講師ら研究グループ)
- 対象データ:米国7施設・日本2施設の1,471人・4,043枚(開発用)、米国1施設の177人・542枚(検証用)
- 主要指標:主カーブのCobb角の平均誤差2.7°(r=0.99)、胸椎後弯の平均誤差3.7°(r=0.91)、椎体番号付けの正確度0.97、インプラント本数誤差0.18本(r=0.99)、計測時間最速0.1秒
- 掲載誌:『npj Digital Medicine』(2026年7月17日オンライン公開)
参考文献