研究

京都大学、維持血液透析患者の大動脈弁治療でTAVIとSAVRの院内成績を全国データで比較

病気の克服を目指す研究動向。写真はイメージです。(写真:Adobe Stock)

 京都大学大学院医学研究科の今中雄一教授らの研究グループは、維持血液透析を受けている重症大動脈弁狭窄症の患者を対象に、経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)と外科的大動脈弁置換術(SAVR)の院内成績を全国データを用いて比較した。

 2021年2月から2023年3月までにTAVIまたはSAVRを受けた維持血液透析患者1649人を対象に分析した結果、TAVIを受けた患者ではSAVRを受けた患者と比較して院内死亡が少なく、入院期間も短いことが示された。

TAVI群で院内死亡が少なく入院期間も短い結果

 今中教授、森下哲司客員研究員(松波総合病院内科副部長を兼務)、髙田大輔特定講師(研究当時、現:同志社女子大学准教授)、糸島尚特定助教、美馬眞希博士課程学生らの研究グループは、日本全国のDPC(診断群分類)データを用いて、2021年2月から2023年3月までにTAVIまたはSAVRを受けた維持血液透析患者1649人の院内成績を比較した。その結果、維持血液透析を受けている重症大動脈弁狭窄症の患者において、TAVIを受けた患者ではSAVRを受けた患者と比較して、院内死亡が少なく、入院期間も短いことが示された。

透析患者における弁治療選択の位置づけ

 維持血液透析を受けている患者は、大動脈弁置換術後の合併症や死亡のリスクが高いことが知られているが、TAVIとSAVRの治療成績を比較したデータはこれまで限られていた。今回の研究は、こうした情報が乏しい状況の中で、全国規模のDPCデータを用いて両治療法の院内成績を比較した点に位置づけられる。

 研究グループは、今回得られた知見が、維持血液透析を受けている大動脈弁狭窄症の患者一人ひとりに適した治療を検討する上での判断材料になり得るとしている。一方で、本研究は観察研究であり、治療法の選択と院内成績との関係を確定的に結論づけるものではなく、さらなる検証が必要とされている。

事実関係の整理

  • 情報の種類:全国データを用いた観察研究
  • 発表元:京都大学大学院医学研究科
  • 対象:2021年2月~2023年3月にTAVIまたはSAVRを受けた維持血液透析患者1649人
  • 主要指標:院内死亡、入院期間
  • 掲載誌:『Cardiovascular Intervention and Therapeutics』(2026年9月1日掲載)
  • 留意点:観察研究であり、さらなる検証が必要とされる

参考文献


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