京都大学、胃がん・食道がん術後18カ月で約8割が復職と報告、体重減少や経済的困難が就労継続に関連
京都大学大学院医学研究科の研究グループは、胃がん・食道がん手術を受けた患者を対象に、術後18カ月までの就労状況を前向きに追跡した多施設共同研究の結果を報告した。
対象となった158人のうち124人(78.5%)が術後18カ月時点で実際に働いており、復職までの期間や、就労継続に関連する要因についても分析結果が示された。
術後18カ月時点で約8割が就労、復職までの期間には差
京都大学外科関連施設で実施された前向き多施設共同研究では、胃がんまたは食道がんの手術を受けた患者158人を対象に、術後の就労状況が18カ月にわたって追跡された。その結果、124人(78.5%)が術後18カ月時点で実際に働いていたことが確認された。
手術後に初めて仕事へ復帰するまでの期間については、胃がん患者と食道がん患者との間で差がみられた。復職までの期間の中央値は、胃がん患者で30日、食道がん患者で70日であり、食道がん患者の方が復職までに長い期間を要する傾向が示された。
また、年齢、がんの進行度、仕事内容、雇用形態に加えて、術後6カ月時点での食欲低下、経済的困難、手術前と比べた10%以上の体重減少が、術後18カ月時点で実際に働いていないこととの関連要因として挙げられた。
診療の場で不足していた復職に関する具体的な情報
胃がんや食道がんの手術を受けた患者やその家族にとって、いつから、どのように仕事へ戻れるのかは大きな関心事とされている。一方で、診療の場において病状や仕事内容、術後の症状や栄養状態を踏まえた具体的な情報が十分に伝えられているとは言えない状況があったとされる。
今回の研究は、こうした状況を踏まえ、実際の復職の時期や、その後継続して働けているかどうかを、患者の背景や術後の症状とあわせて前向きに把握することを目的として行われた。研究グループは、京都大学大学院医学研究科消化管外科学の久森重夫 講師(研究当時)、後藤健太郎 同博士課程学生、上野剛平 同医員(研究当時)、岡村亮輔 同助教、小濵和貴 同教授らで構成された。
本研究成果は2026年7月26日、国際誌『Annals of Gastroenterological Surgery』にオンライン掲載された。研究グループは、病状や仕事内容、術後の症状や栄養状態を踏まえた患者との対話や支援が、治療後に働き続けるための一助になることを期待していると述べている。
事実関係の整理
- 情報の種類:前向き多施設共同観察研究
- 公表元:京都大学大学院医学研究科
- 対象:京都大学外科関連施設で胃がん・食道がん手術を受けた患者158人
- 主要指標:術後18カ月時点の就労割合(124人、78.5%)、初回復職までの期間中央値(胃がん30日、食道がん70日)、非就労との関連要因(年齢、病期、仕事内容、雇用形態、術後6カ月時点の食欲低下・経済的困難・10%以上の体重減少)
- 留意点:関連要因は観察研究に基づくものであり、因果関係を示すものではない
参考文献