東北大学が核医学検査スタッフの被ばく要因を解析──行動と線量上昇の関連を整理
東北大学大学院医学系研究科の研究グループが、核医学検査に従事する医療スタッフの被ばく実態を、秒単位で記録できるリアルタイム線量計を用いて解析したと発表した。
心筋血流シンチグラフィ検査を対象とした時系列解析により、心電図リードの着脱など特定の作業の際に頸部の線量が一時的に上昇する傾向が確認されたとしている。
リアルタイム線量計で被ばく上昇の場面を特定
東北大学大学院医学系研究科放射線検査学分野の藤沢昌輝大学院生、千田浩一教授(災害放射線医学分野)らの研究グループは、半導体式のリアルタイム線量計を核医学技師の頭部および頸部に装着し、1秒ごとの線量を記録して時系列解析を行った。対象としたのは、放射性医薬品(99mTc-MIBIや99mTc-tetrofosminなど)を静脈内投与して心筋への血流分布を画像化する心筋血流シンチグラフィ検査で、虚血性心疾患の診断や治療効果判定に用いられている。解析の結果、右頸部の線量が他の測定部位と比べて最も高く、特に心電図リードの装着・除去や注射後の処置といった特定の動作の際に一時的な線量ピークが生じることが示された。従来、累積値のみを測定する受動型線量計では把握が難しかった「どの動作で線量が上昇するのか」という点を、具体的な作業内容と結び付けて確認した点が今回の解析の特徴とされている。
従来の線量計測定における制約と本研究の位置づけ
核医学検査は放射性医薬品を扱う性質上、従事する医療スタッフの被ばくリスクが以前から指摘されてきた領域である。これまで広く用いられてきた受動型線量計は、測定期間終了後にまとめて解析を行い累積線量を算出する方式であり、期間中に「いつ」「どの動作」で線量が上昇したのかを特定することは困難とされてきた。このため、被ばく低減に向けた対策も、作業全体の傾向を踏まえた一般的な内容にとどまりやすかった。
今回用いられた半導体式のリアルタイム線量計は、高い時間分解能で放射線量を記録・表示できる点が特徴であり、装着部位ごとの線量変化を秒単位で追跡できる。研究グループは、この特性を核医学技師の実際の業務動作と組み合わせることで、被ばく線量の上昇と具体的な作業内容との関連を可視化することを試みた。心筋血流シンチグラフィ検査における心電図リードの着脱作業は、患者に近接した位置での短時間の処置であり、こうした場面が線量上昇と結び付く可能性が今回の解析を通じて示された形である。
事実関係の整理
- 情報の種類:臨床研究(被ばく線量の時系列解析)
- 公表元:東北大学大学院医学系研究科
- 対象:心筋血流シンチグラフィ検査に従事する核医学技師
- 主要指標:頭部・頸部における1秒ごとのリアルタイム線量、動作別の線量ピーク
- 掲載誌:Applied Sciences(オンライン版、2025年10月14日付)
- 留意点:初期段階の検討であり、対象部位や検査手技が限定されている
参考文献
東北大学 プレスリリース「核医学検査における医療スタッフの被ばく要因を特定-リアルタイム線量評価による行動解析で安全対策を強化-」
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/10/press20251023-01-Medicine.html