研究

国立成育医療研究センターらが小児がんゲノムプロファイリング検査の有用性を確認──全国連携体制の構築を整理

病気の克服を目指す研究動向。写真はイメージです。(写真:Adobe Stock)

 国立成育医療研究センターと国立がん研究センターは、東京大学医学部附属病院、国立国際医療センター、日本小児がん研究グループ(JCCG)との共同研究として、小児がんに対するゲノムプロファイリング検査の有用性を検討した多施設共同臨床研究「JCCG-TOP2」の結果を発表した。

 全国50施設から登録された204人の患者を対象に解析を行った結果、7割超の症例で診断・予後予測・治療選択のいずれかに役立つ所見が得られたことが示された。

204例中147例で臨床的に有用な所見を確認

 研究グループは、日本小児がん研究グループ(JCCG)に参加する全国の医療機関の協力を得て、小児がんに対するゲノムプロファイリング検査の意義を検討する前向き観察研究を実施した。2022年1月から2023年2月にかけて全国50施設から210人の患者が登録され、腫瘍と血液の検体がそろい解析が可能であった204人を対象に、「新Todai OncoPanel(TOP2)」を用いた検査が行われた。

 解析結果は、小児がんゲノムの専門医や病理診断の専門医らによる予備検討会議とエキスパートパネルで検討され、診断・予後予測・治療選択それぞれの観点から評価された。その結果、204例のうち147例(72%)で、臨床的に有用な所見(Potentially actionable findings:PAF)が確認されたと報告している。所見の内訳としては診断補助や予後予測につながるゲノム変化が多く検出され、融合遺伝子などの構造異常がこれらに寄与していたことが示された。また、分子標的薬など治療薬の候補につながる所見が約3割を占め、17人(8%)ではがん発症に関わる遺伝的背景(cancer predisposition)が確認されたとしている。

成人がん向け検査の課題と全国連携体制の構築

 がんゲノムプロファイリング検査は2019年に保険収載され「ゲノム医療」として広く用いられるようになっているが、これまでの検査は成人のがんを主な対象として設計されており、小児がんに特徴的な遺伝子の構造変化を十分に捉えられない点が課題とされてきた。今回の研究は、こうした背景のもとで小児がんにおける検査の意義と実装体制を検討する位置づけとなる。

 今回用いられた「新Todai OncoPanel(TOP2)」は、小児がんの診断に有用な遺伝子を解析対象に含むとともに、DNAとRNAを同時に解析することで融合遺伝子やコピー数異常などの構造異常の検出に優れる特徴を持つとされる。研究グループは、TOP2による検査結果を診療に活用するにあたり、全国の医療機関で検体を適切に採取・処理し、複雑な解析結果を解釈するための連携体制づくりが必要になるとしている。研究を通じて、がんゲノム検査と病理診断を組み合わせた統合診断の体制や、小児がん診療に携わる医療従事者へのゲノム医療関連の人材育成の必要性が確認されたとしている。TOP2はその後、GenMineTOPがんゲノムプロファイリングシステムとして2023年8月より保険適用となり、診療での運用が始まっている。

事実関係の整理

  • 情報の種類:多施設共同臨床研究(前向き観察研究)
  • 公表元:国立成育医療研究センター、国立がん研究センター、東京大学医学部附属病院、国立国際医療センター、日本小児がん研究グループ(JCCG)
  • 対象:全国50施設から登録された29歳以下の小児がん患者210人(解析対象204人)
  • 主要指標:臨床的に有用な所見(PAF)の有無、診断・予後予測・治療選択への寄与
  • 掲載誌:Cancer Science(DOI:10.1111/cas.70249)

参考文献

国立成育医療研究センター・国立がん研究センター プレスリリース「小児がんに対するゲノムプロファイリング検査の有用性を確認」(2025年12月16日)
https://www.ncc.go.jp/jp/information/researchtopics/2025/1216/index.html


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