藤田医科大学が酢酸摂取量と栄養素摂取の関連を発表──1万2000人規模の食事データ解析を整理
藤田医科大学医学部臨床栄養学の飯塚勝美教授らの研究グループは、日本人成人約1万2000人の食事データを解析し、酢酸の摂取量と年齢・性別、栄養素摂取量との関連を調べた結果を発表した。
摂取エネルギー量が同程度であっても、酢酸の摂取量が多い人ほど炭水化物や飽和脂肪酸の摂取量が少ない傾向がみられたとしている。
酢酸摂取量と栄養素摂取の関連を確認
研究グループは、Mizkan Holdings中央研究所が保有する食事管理アプリ「あすけん」の利用データから、20〜69歳の日本人成人1万2074人分の食事記録を分析した。対象者の内訳は男性3038人(平均47.8±11.9歳)、女性9036人(平均42.4±11.8歳)であった。二元配置分散分析の結果、酢酸摂取量は男性および高齢の参加者でより多い傾向が認められた(性別:F=11.0、p<0.001、年齢:F=9.1、p<0.001)。
さらに多重線形回帰分析を行い、年齢・性別で調整したモデル1では、酢酸摂取量は食物繊維をはじめとする多くの栄養素の摂取量と正の関連を示した。これに加えて総エネルギー摂取量でも調整したモデル2では、炭水化物、糖類、でんぷん、飽和脂肪酸、酪酸の摂取量と負の関連が確認された(いずれもp<0.05)。研究グループは、これらの結果について、酢酸を含む食事がでんぷんや飽和脂肪酸の摂取を抑え、肥満予防に寄与する可能性を示唆するものと説明している。
酢酸をめぐるこれまでの知見と本研究の位置づけ
酢に含まれる酢酸は、アルコールの副産物として古くから利用され、醸造技術の発展とともに調味料・保存料として食文化に取り込まれてきた経緯があるとされる。現在ではバルサミコ酢、ワインビネガー、アップルサイダービネガー、米酢など多様な酢が世界各地で利用されており、酢酸には酸味による味の増強や色の発現、肉・魚の軟化、カルシウム吸収の促進、抗菌作用など複数の効果があるとされる。血糖調整や脂質代謝改善を通じた肥満・2型糖尿病リスクの低減、胃排出の遅延や満腹感の増加、血圧・コレステロールの低下なども報告されているという。
一方で、酢酸の摂取量は正確な測定が難しく、日内変動も大きいため、摂取量と疾患との関連を検討した研究は限られていたとされる。研究グループは、こうした背景から質問票ではなく食事記録アプリを用いて酢酸摂取量を算出し、約1万2000人分のデータをもとに年齢・性別の影響を検討したうえで、さらに年齢・性別・エネルギー摂取量を調整し、タンパク質、炭水化物(食物繊維・糖類等)、脂質(脂肪酸や酪酸)など多数の栄養素との関連を明らかにすることを目的としたと説明している。
事実関係の整理
- 情報の種類:疫学研究(横断解析)
- 公表元:藤田医科大学医学部臨床栄養学(飯塚勝美教授ら)、Mizkan Holdings中央研究所
- 対象:食事管理アプリ「あすけん」利用者のうち20〜69歳の日本人成人1万2074人(男性3038人、女性9036人)
- 主要指標:酢酸摂取量と年齢・性別の関連(F値)、酢酸摂取量と各栄養素摂取量との標準化回帰係数
- 掲載誌:学術ジャーナル『Nutrients』(1月19日号、オンライン版も1月19日公開)
- 留意点:横断的な解析であり、酢酸摂取量と栄養素摂取量との関連を示すものであって、因果関係を証明するものではない
参考文献
藤田医科大学「酢酸を多くとる習慣のある人ほど、炭水化物や飽和脂肪酸の摂取が少ない—日本人約1.2万人の食事データ解析—」
https://www.fujita-hu.ac.jp/news/vsfo8q0000010t6f.html