研究

京都大学が食道扁平上皮がんへの化学放射線療法とニボルマブ併用治験結果を発表──安全性と効果予測因子を整理

病気の克服を目指す研究動向。写真はイメージです。(写真:Adobe Stock)

 京都大学医学部附属病院の野村基雄特定講師、武藤学教授らの研究グループは、国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、千葉県がんセンター、北里大学医学部と共同で、食道扁平上皮がんに対する根治的化学放射線療法に免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(オプジーボ)を併用する医師主導治験「NOBEL試験」の結果を発表した。

 2019年1月から実施されたこの治験では、懸念されていた重篤な肺臓炎などの副作用の増加は確認されず、画像検査でがんが完全に消失する完全奏効割合は73%、1年後の生存割合は92.7%であったと報告されている。あわせて、治療前の遺伝子発現を調べることで、効果が期待できる患者を事前に見分ける手がかりが得られたことも示された。

化学放射線療法とニボルマブ併用で高い奏効割合と安全性を確認

 NOBEL試験は、手術によらず根治を目指す治療として広く用いられている化学放射線療法に、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブを上乗せする第2相単群試験である。治験の結果、免疫チェックポイント阻害薬の併用によって懸念されていた重篤な肺臓炎などの副作用の頻度が増えることはなく、安全に実施できることが確認されたと報告された。

 有効性については、画像検査でがんが完全に消失したと判定された完全奏効割合が73%と高い水準であったほか、1年後の生存割合も92.7%であったことが示された。研究グループは、これらの成績を踏まえ、化学放射線療法へのニボルマブ上乗せが一つの選択肢になり得ることを示す結果と位置づけている。

化学放射線療法への免疫チェックポイント阻害薬上乗せという位置づけ

 食道扁平上皮がんに対しては、手術を行わない治療選択肢として、抗がん剤と放射線治療を組み合わせる化学放射線療法が従来から用いられてきた。一方、他のがん種では免疫チェックポイント阻害薬が治療成績の向上に寄与する例が報告されており、食道扁平上皮がんの化学放射線療法にニボルマブを併用することで、安全性を保ちながら治療効果を高められるかが検証課題となっていた。

 NOBEL試験は、京都大学を中心に国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、千葉県がんセンター、北里大学医学部の4施設が参加する多施設共同の医師主導治験として実施された。あわせて実施された治療前の腫瘍組織の遺伝子発現解析では、免疫の働きが活発な性質を持つがんほど、この併用療法による効果が高い傾向が見られたとされる。研究グループは、この所見について、将来的にどのような患者にこの治療法を適用すべきかを事前に予測するための手がかりになり得ると説明している。

事実関係の整理

  • 情報の種類:医師主導治験(第2相単群試験)の結果報告
  • 公表元:京都大学(野村基雄医学部附属病院特定講師、武藤学同教授ら)
  • 共同実施機関:国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、千葉県がんセンター、北里大学医学部
  • 対象:切除可能および切除不能な食道扁平上皮がん患者
  • 主要指標:完全奏効割合73%、1年生存割合92.7%、重篤な有害事象の増加なし
  • 留意点:対照群を置かない単群試験であり、遺伝子発現による効果予測についても今後の検証が想定される

参考文献


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