藤田医科大学、AI搭載12誘導心電計による心房細動リスク評価を665例の実診療データで検証
藤田医科大学などの研究グループが、AI(人工知能)を搭載した12誘導心電計を用いて、心房細動(AF)のリスク評価を実診療のデータで検証した結果を発表した。
665例の実診療データを解析した結果、AIが高リスクと判定した患者群ほど、実際に心房細動を来した割合が高いことが示された。あわせてAIの判定根拠を解析した結果、既存の臨床的リスク評価指標であるCHA₂DS₂-VAScスコアを補完しうる位置づけであることも示された。
高リスク判定群で心房細動の発生割合が約3.5倍
藤田医科大学ばんたね病院と豊田ハートセンターの2施設において、40歳以上の665人を対象に、AI搭載12誘導心電計「FCP-9900」を用いた解析が行われた。このAIは通常の洞調律の心電図を約2秒で解析し、心房細動のリスクを「Low」「Mid-Low」「Mid-High」「High」の4段階に分類する。解析の結果、AIによるリスク判定が高くなるほど心房細動の発生率が高くなる傾向が確認され、High群ではLow群と比較して約3.5倍高いオッズ比が示された。
さらに、AIの判定根拠を可視化するSHAP解析を実施した結果、AIは単独で従来の臨床リスク評価を上回るものではなく、CHA₂DS₂-VAScスコアなどの既存の臨床情報と組み合わせることで、より有用なリスク評価が可能になる可能性が示された。
心房細動の早期発見とAI心電図技術の位置づけ
心房細動は最も頻度の高い持続性不整脈であり、脳梗塞や心不全など重篤な心血管系疾患の原因となることが知られている。一方で自覚症状に乏しく発作性に出現することも多いため、診断されないまま経過する患者が少なくないとされ、通常の診療で心房細動の高リスク患者を早期に見つけ出すことが課題とされてきた。
近年、AIを用いて通常の12誘導心電図から心房細動のリスクを評価する技術が開発されているが、これまでの多くはアルゴリズムの開発や研究環境での性能評価にとどまっており、実際の診療現場でどの程度有用であるか、またAIがどのような情報を基に判断しているのかについては十分に検証されていなかった。今回の研究は、実診療に導入されたAI搭載心電計の有用性を、多施設共同研究として検証したものである。
事実関係の整理
- 情報の種類:多施設共同研究(実診療データ解析)
- 発表・研究主体:藤田医科大学、豊田ハートセンター
- 公表媒体:『JACC: Advances』(2026年8月号、オンライン版は2026年7月26日公開)
- 対象:40歳以上665人(藤田医科大学ばんたね病院、豊田ハートセンターの2施設)
- 使用機器・手法:AI搭載12誘導心電計「FCP-9900」、SHAP解析による判定根拠の可視化
- 主要結果:AI高リスク判定群は低リスク判定群に比べ心房細動の発生割合が約3.5倍高い
- 留意点:AIは既存の臨床的リスク評価(CHA₂DS₂-VAScスコアなど)を代替するものではなく、これらと組み合わせて活用する位置づけとして示されている
参考文献