東北大学と京都大学、生体センサー用高分子材料の配列設計が薄膜構造と電気特性を左右すると発表
京都大学大学院工学研究科の山本俊介准教授(研究当時は東北大学大学院工学研究科客員准教授を兼任)らの研究グループは、生体センサー用の有機電気化学トランジスタに使われる高分子材料について、材料の配列設計が薄膜の構造や電気特性に影響することを報告した。
導電性高分子であるPEDOT:PSSに、正負両方の電荷を持つ両性イオン部位を持つ高分子を混合し、繰り返し単位の種類や並び方が異なる複数の材料を比較した結果、薄膜構造の変化に伴い電荷輸送性や信号増幅性能が左右されることが示された。あわせて、たんぱく質の付着量や付着後の動作安定性への関与も確認されたという。
高分子の配列設計が薄膜構造と電気特性を左右
研究グループは、生体センサー用の有機電気化学トランジスタに用いる高分子材料として、導電性高分子「PEDOT:PSS」に、正負両方の電荷を持つ両性イオン部位を含む高分子を混合した薄膜を作製した。混合する高分子については、繰り返し単位の種類や並び方が異なる複数の材料を用意し、それぞれの薄膜特性を比較した。
その結果、PEDOT:PSSが持つ基本的な構造自体は保たれる一方で、混合する高分子の設計によって薄膜内の構造が変化することが確認された。この構造の変化は、電荷輸送性と信号増幅性能の双方に関係しており、材料設計の違いが素子の電気的な挙動に反映されることが示された。
たんぱく質の付着と動作安定性への関与
有機電気化学トランジスタは、生体信号を計測するセンサーへの応用が検討されている素子であり、実際の使用環境ではたんぱく質など生体由来の物質が素子表面に付着する状況が想定される。今回の研究では、薄膜の構造の違いが、たんぱく質の付着量や、付着が生じた後の動作安定性にも関わることが確認された。
これにより、高分子の配列設計、薄膜の構造、電気的な性能、そして生体物質が付着した際の安定性という一連の要素が、互いに関連づけられる形で位置づけられた。研究グループは、材料の分子設計から薄膜構造、電気的性質、生体物質への応答までを一貫して結びつける観点が、安定性と性能を両立する材料設計を検討する上での手がかりになるとしている。
事実関係の整理
- 情報の種類:大学発表による研究成果、査読付き学術論文
- 発表主体:京都大学大学院工学研究科(山本俊介准教授ら)、東北大学大学院工学研究科(客員研究員を含む研究グループ)
- 対象材料:導電性高分子PEDOT:PSSと両性イオン部位を持つ高分子の混合薄膜
- 確認された関係:高分子の配列設計と薄膜構造、電荷輸送性、信号増幅性能、たんぱく質付着後の動作安定性の関連
- 掲載誌:Advanced Electronic Materials(2026年8月13日オンライン掲載)
参考文献