日本医療機器学会が『医療現場における滅菌保証のガイドライン2026』を発行──無菌性保証の考え方を整理
一般社団法人日本医療機器学会は、医療施設内の滅菌供給部門が守るべき手順をまとめた『医療現場における滅菌保証のガイドライン2026』を発行したと発表した。前回改訂から5年ぶりの改訂となる。
ガイドラインは、医療機器の再生処理における無菌性保証の考え方を示すものであり、遵守状況の確認については同学会が別途作成した施設評価ツールに委ねる方針が維持されている。
滅菌供給部門の無菌性保証の考え方を示すガイドラインを改訂
一般社団法人日本医療機器学会は、『医療現場における滅菌保証のガイドライン2026』を発行したと発表した。同ガイドラインは医療施設でおこなわれる医療機器の再生処理業務(滅菌供給)の品質を維持し、患者の安全を確保することを目的とすると説明している。品質の維持とは、再生処理された医療機器における無菌性保証水準(SAL)が10⁻⁶以下であることを保証することを指すと説明されている。
適用範囲は、医療施設の滅菌供給部門でおこなわれる医療機器の再生業務、または医療施設から業務委託を受けておこなわれる再生業務とされている。想定する読者は主に滅菌供給部門で作業工程を管理する職種であり、第2種滅菌技士や第1種滅菌技師の資格保有者、または取得を目指す層を念頭に置いていると説明されている。
2021年版からの考え方の継続と制度上の位置づけ
同学会によると、本ガイドラインは臨床診断・治療のガイドラインとは性格が異なるとされている。臨床のガイドラインは個々の項目の有効性を基に遵守勧告レベルが設定されるのに対し、滅菌保証のガイドラインは無菌性(SAL≦10⁻⁶)に到達するための一連の工程管理を示すものであり、原則としてすべての項目を遵守することで無菌性が保証されるという考え方に立つと説明されている。この考え方は、製造業における品質マネジメントシステム(QMS)の枠組みを踏まえたものとされている。
2021年版の改訂では、医療機器を洗浄・滅菌の困難性に応じて分類し、その中で最も洗浄・滅菌が困難な製品をマスター製品と位置づけてバリデーションをおこなう「製品ファミリー」の考え方が導入された。また同じ2021年版で、従来設けられていた遵守勧告レベル(A/B/C)が廃止され、遵守状況の確認は『医療現場における滅菌保証のための施設評価ツール』に委ねる方針となっている。2026年版はこうした考え方を引き継いだ改訂であると説明されている。
また同学会は、令和7年2月の厚生労働省通知の改正により、医療施設外の洗浄滅菌業務受託施設が今後より広く活用されることが見込まれるとし、ガイドラインの名称は「医療現場における」であるものの、医療施設外の受託施設においても本ガイドラインを参考に滅菌保証を確立することが期待されると述べている。
事実関係の整理
- 情報の種類:学会発行のガイドライン改訂
- 発行元:一般社団法人日本医療機器学会(滅菌技士認定委員会)
- 文書名:『医療現場における滅菌保証のガイドライン2026』(前版から5年ぶりの改訂)
- 適用対象:医療施設の滅菌供給部門でおこなわれる医療機器の再生業務、または業務委託を受けておこなわれる再生業務
- 主要指標:無菌性保証水準(SAL)10⁻⁶以下、製品ファミリー・マスター製品による稼働性能適格性確認(PQ)
- 関連文書・事業:『医療現場における滅菌保証のための施設評価ツール』、滅菌供給部門評価事業(訪問審査・優良施設認定)
- 留意点:遵守勧告レベル(A/B/C)は2021年版で廃止済みであり、2026年版もその方針を継続している
参考文献
一般社団法人日本医療機器学会「『医療現場における滅菌保証のガイドライン2026』発行のお知らせ」
https://www.jsmi.gr.jp/jsmi-info/cssdguideline2026/#toreader