日本癌学会が喫煙と膵臓がん治療の関連文献を紹介──術前化学療法への影響を整理
日本癌学会喫煙対策委員会は、喫煙とがんをはじめとする健康影響に関する参考文献を定期的に紹介する取り組みの一環として、膵臓がんの術前化学療法と喫煙状況の関連を検討した海外の研究論文を取り上げた。
紹介された研究では、膵臓がん切除例を対象にした前向きデータベースの解析から、診断後も喫煙を続けている患者において術前化学療法の効果が弱まる傾向が示されたと報告されている。
膵臓がん患者における喫煙状況と術前化学療法効果の関連
紹介された文献によると、膵臓がん切除例848例の前向きデータベースを用いて、患者の喫煙状況と臨床病理情報、術前化学療法(FOLFIRINOX療法など)の内容を解析した結果、現在喫煙者は非喫煙者や過去喫煙者と比較して全生存期間が短縮し、術前FOLFIRINOX療法の有効性が約40%低下したことが示されたと説明している。この研究はCarl-Stephan Leonhardt氏らの研究グループによるもので、2023年に『European Journal of Cancer』に掲載された。
参考文献紹介の位置づけと過去の関連知見
日本癌学会喫煙対策委員会は、新型たばこを含む喫煙と健康にまつわる国内外の研究論文を、がん予防やがん医療へのインパクト、社会的な関心の高さなどを踏まえて選定し、1~2編ずつ定期的に紹介している。今回取り上げられた文献は通算38編目にあたり、担当委員は愛知県がんセンター研究所がん予防研究分野の松尾恵太郎氏が務めている。
過去に紹介された文献には、頭頸部がん診断後の禁煙が治療効果や長期生存に関連するとした報告や、がん診断後の禁煙により二回目のがん罹患リスクが低下したとする報告などがあり、診断後の禁煙とがん治療・予後の関係は継続的に取り上げられてきたテーマである。今回の膵臓がんに関する報告は、こうした一連の紹介の中に位置づけられる。
事実関係の整理
- 情報の種類:学会による研究論文の紹介(参考文献紹介)
- 公表元:日本癌学会喫煙対策委員会
- 対象:膵臓がん切除例848例(前向きデータベース)
- 主要指標:全生存期間、術前FOLFIRINOX療法の有効性
- 留意点:観察研究に基づく関連であり、因果関係を断定するものではない
参考文献
喫煙のがんを始めとする健康に関する情報(参考文献の紹介):日本癌学会
https://www.cancer.or.jp/modules/about/index.php?content_id=111