研究

名古屋大学などがDNA制御ナノ粒子結晶を開発──微量分子検出の高感度化を整理

病気の克服を目指す研究動向。写真はイメージです。(写真:Adobe Stock)

 名古屋大学未来材料・システム研究所などの研究グループが、DNAを設計図として金ナノ粒子を規則的に配列し、ナノメートル単位の隙間(ナノギャップ)を周期的に作り込んだ結晶材料を開発したと発表した。

 表面増強ラマン散乱(SERS)と呼ばれる現象を利用した検出実験により、液体中に含まれるごく微量の分子を検出できることを確認したとしている。成果は2026年7月14日付(日本時間)の学術誌『ACS Applied Optical Materials』に掲載された。

DNA修飾ナノ粒子結晶によるナノギャップ構造の形成

 名古屋大学未来材料・システム研究所の田川美穂教授、李旭助教、桒原真人教授、小川智史准教授、同大学大学院工学研究科の池内泰士氏(博士前期課程学生、研究当時)、小澤咲季氏(博士後期課程学生)からなる研究グループは、広島大学持続可能性に寄与するキラルノット超物質国際研究所の新家寛正特任准教授、東北大学多元物質科学研究所の押切友也准教授、九州大学大学院理学研究院の平松光太郎教授との共同研究として、DNAで修飾したコアシェル型の金ナノ粒子を結晶状に配列させる手法を開発したと発表した。

 開発した結晶材料では、粒子同士の間にナノメートル単位の隙間が周期的に形成される構造となっている。研究グループは、この隙間を利用した表面増強ラマン散乱により、液体中に含まれるごく微量の分子でも検出できることを実験で確認したとしている。

ラマン分光法における微量検出の課題

 ラマン分光法は、分子が持つ固有の振動を読み取ることで物質の種類を識別できる手法として知られている。一方で、分子の量がごく少量の場合には信号が弱く、検出が難しいという課題が従来から指摘されてきた。研究グループは、この課題に対し、金属ナノ粒子表面で生じる表面増強ラマン散乱という現象を利用する方針を採ったと説明している。

 表面増強ラマン散乱は、金や銀などの金属ナノ粒子、あるいは粗面化された金属表面に分子が吸着した際に、ラマン散乱の強度が著しく増強される現象とされる。今回の研究では、DNAを用いて金ナノ粒子の配置とナノギャップの大きさを精密に制御することで、この増強効果を安定的に得られる結晶材料の設計を試みたと位置づけられている。研究グループは、今回開発した材料についてナノメートルという極めて小さなスケールで構造を制御できる点を特徴として挙げており、将来的には細胞内で起こる現象の観察や、化学反応の変化を調べる技術など、これまで分析が難しかった環境での応用が検討課題になるとしている。

事実関係の整理

  • 情報の種類:学術論文(研究成果の発表)
  • 発表元:名古屋大学未来材料・システム研究所(広島大学、東北大学、九州大学との共同研究)
  • 研究対象:DNA修飾コアシェル型金ナノ粒子結晶、周期的ナノギャップ構造
  • 検出手法:表面増強ラマン散乱(SERS)を利用した液体中微量分子の検出
  • 掲載誌:ACS Applied Optical Materials(2026年7月14日付、日本時間)
  • DOI:10.1021/acsaom.6c00173
  • 留意点:細胞内観察や化学反応観察への応用は、今後の検討課題として位置づけられている

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