京都大学がQOCTの高分解能化技術を発表──体積分解能43倍向上と偽信号除去手法を整理
京都大学の研究グループが、量子もつれ光を用いた量子光干渉断層撮影(QOCT)において、体積分解能4.04フェムトリットルを達成したと発表した。
従来のQOCTの体積分解能である176フェムトリットルと比べて43倍の向上に相当するとしている。あわせて、グラフ理論に基づく手法により、QOCT特有の偽信号を除去する方法も示された。
QOCTで体積分解能4.04フェムトリットルを達成
京都大学大学院工学研究科の阿部尚文特定研究員(研究当時)、堀野智康同修士課程学生(研究当時)、川口蓉子同修士課程学生(研究当時)、岡本亮同准教授、竹内繁樹同教授らの研究グループは、量子もつれ光を用いた量子光干渉断層撮影(QOCT)において、4.04μm³(4.04フェムトリットル)の体積分解能を達成したと発表した。
この値は、従来報告されていたQOCTの体積分解能176μm³(176フェムトリットル)と比べて43倍に相当するとしている。あわせて研究グループは、グラフ理論における「最大クリーク探索」を応用した新しいアルゴリズムを開発し、QOCTの画像に生じる特有の偽信号を高速に除去する手法を示した。研究グループは、材料科学や生命科学など幅広い分野での応用が想定されるとしている。
光干渉断層撮影と量子イメージングの位置づけ
光干渉断層撮影(OCT)は、眼科領域をはじめとして生体や材料の断層構造を非侵襲で観察する技術として広く用いられている。一方で、サンプル内での光の分散の影響を受けることが、分解能を高める上での制約になるとされてきた。
量子もつれ光を用いたQOCTは、この分散の影響を受けにくい特性を持つとされ、従来のOCTを超える分解能を実現できる可能性がある技術として研究が進められてきた。ただし、これまでのQOCTでは体積分解能が176フェムトリットルにとどまっていたほか、画像上に本来存在しない構造として現れる偽信号の発生が、実用化に向けた課題として指摘されていた。今回の成果は、この分解能と偽信号という2つの課題に対する取り組みとして位置づけられる。
事実関係の整理
- 情報の種類:学術研究(量子イメージング技術)
- 公表元:京都大学大学院工学研究科
- 対象:量子光干渉断層撮影(QOCT)による三次元微細構造のイメージング
- 主要指標:体積分解能4.04μm³(4.04フェムトリットル)、従来のQOCT比で43倍
- 手法:グラフ理論の「最大クリーク探索」を応用したアルゴリズムによる偽信号除去
- 発表誌:米国科学誌『Optics Express』(2026年7月20日オンライン掲載)
- 留意点:数値は研究グループの発表に基づくものであり、実サンプルへの応用範囲は今後の検証による
参考文献