研究

神戸大学が「魔の7歳」再考を示す交通事故統計分析を発表──1・2年生の死傷率差縮小を整理

グローバル医療と社会の関係をテーマに、タブレット端末を操作する医療従事者のイメージ

 小学1年生の歩行中交通事故死傷率の高さを指すいわゆる「魔の7歳」という表現について、神戸大学の研究グループが従来の認識を見直す必要性を示す分析結果を発表した。

 分析では、近年の統計において小学1年生と2年生の死傷率の差が縮小し、学年間で統計的に有意な差が確認できなくなっている年が増えていることが示された。

小学1年生と2年生の死傷率差が縮小

 神戸大学大学院経営学研究科の三古展弘教授らの研究グループは、ITARDA(公益財団法人交通事故総合分析センター)の交通事故データを用い、2014年から2024年までの学齢別、および2001年から2023年までの年齢別の歩行中交通事故死傷率の推移を分析した。

 その結果、いずれの学年でも死傷率は減少傾向にあるものの、小学1年生の減少幅が特に大きく、2年生との差が縮小していることが示された。1年男児の死傷率は2014年の0.189%から2024年には0.085%へ低下し、2014年比で0.447倍となった。1年女児は0.094%から0.043%(同0.455倍)、男女計では0.143%から0.064%(同0.449倍)に低下している。一方、2年生の減少幅はより緩やかで、2024年の対2014年比は男児で0.524、女児で0.586、男女計で0.543にとどまった。

 年齢別の分析でも、小学1年生に対応する6歳・7歳の死傷率は2001年から2023年にかけて大きく減少しており、隣接する学齢・年齢間についてピアソンのカイ2乗検定を行った結果、近年は1年生と2年生、7歳と8歳の間で統計的に有意な差が確認できない年が増えていることが示された。

「魔の7歳」という表現の背景と分析の経緯

 小学1年生の歩行中交通事故死傷者数の多さは、小学校入学に伴い子供だけで外出する機会が急増することと関連付けて説明され、「魔の7歳」という表現とともに広く知られてきた。政府広報オンラインでも2026年3月24日付で、小学1年生の歩行中の死者・重傷者数が6年生の約2.5倍にのぼるとする記事が掲載されるなど、この表現は行政広報においても用いられている。

 研究グループは、新型コロナウイルス感染症の影響で通学機会が少なかった2020年の小学1年生に着目し、外出機会の急増のみでは1年生の交通事故傾向を十分に説明できない可能性があると考え、2020年を含む近年のデータを用いた検証を行った。その結果、コロナ禍以前から小学1年生と2年生の死傷率の差が縮小する傾向がすでに確認されており、こうした近年の動向は社会全体で十分に共有されてきたとは言い難い状況にあるとしている。

事実関係の整理

  • 情報の種類:交通事故統計を用いた学術論文
  • 公表元:神戸大学大学院経営学研究科(三古展弘教授ら)
  • 使用データ:ITARDA(公益財団法人交通事故総合分析センター)の交通事故統計
  • 分析期間:学齢別2014年~2024年、年齢別2001年~2023年
  • 主要指標:歩行中交通事故死傷率、隣接学齢・年齢間のカイ2乗検定による有意差の有無
  • 掲載誌:Findings(2026年6月29日掲載、DOI:10.32866/001c.163576)
  • 留意点:死傷率差の縮小が1年生への安全教育の成果か、2年生への教育不足か、その両方かについては今後の研究課題とされている

参考文献

「魔の7歳」はもう古い | 神戸大学ニュースサイト
https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/20260707-68117/


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