慶應義塾大学など4大学がスタートアップのハラスメント実態調査を発表──経験率と事業運営への影響を整理
慶應義塾大学、東京大学、京都大学、一橋大学の4大学は2026年4月9日、経済産業省の協力のもと実施したスタートアップエコシステムにおけるハラスメント実態調査の結果を公表した。2015年以降に設立されたスタートアップの起業家を対象とした調査で、回答者の32%が何らかのハラスメントを、6%がセクシュアル・ハラスメントを経験していたことが示された。
調査では加害者の属性やネットワークの広さとハラスメント報告との関係も分析されており、パートナーシップの断念や戦略転換など、事業運営への影響が生じていた事例も確認された。
ハラスメント経験率の内訳と事業運営への影響
調査は、企業情報プラットフォーム「Speeda」に登録されている2015年以降設立のスタートアップ全1万3264社を対象に実施され、467件の有効回答が得られた。回答者のうち32%が何らかのハラスメントを経験していたと回答し、内訳としては非性的ハラスメント(パワハラ)が31%、セクシュアル・ハラスメントが6%であった。加害者の属性としては取引先やベンチャーキャピタリストが多く挙げられ、一部の事例ではハラスメントを契機にパートナーシップの断念や事業戦略の転換に至ったことが示された。
あわせて、起業家が持つネットワークの広さとセクシュアル・ハラスメントの報告状況との関係も分析され、両者の間に負の相関が確認された。この結果から、女性起業家が多様なネットワークを構築できるよう支援することの重要性が示唆されたとしている。
調査の背景と設計
スタートアップエコシステムにおけるハラスメントをめぐっては、2024年8月のNHK報道を契機として社会的関心が高まった一方、その実態を裏付ける定量的なデータは十分に蓄積されていなかった。今回の調査は、こうした状況を踏まえ、東京大学、京都大学、一橋大学、慶應義塾大学の4大学が経済産業省の協力を得て共同で実施したものである。
調査票は「起業家エコシステムの環境調査」という名称で中立的に設計され、ハラスメントに関する自己認識を直接尋ねるのではなく、具体的にどのような行為を経験したかを問う行動ベースの測定手法が採用された。この設計により、回答時のバイアスを抑えることが図られたとしている。
事実関係の整理
- 情報の種類:スタートアップエコシステムに関する実態調査
- 公表元:慶應義塾大学、東京大学、京都大学、一橋大学(経済産業省協力)
- 対象:2015年以降設立のスタートアップ全1万3264社(有効回答467件)
- 主要指標:ハラスメント経験率32%、うちセクシュアル・ハラスメント6%、非性的ハラスメント31%
- 留意点:ネットワークの広さとセクシュアル・ハラスメント報告の関係は相関を示すものであり、因果関係を示すものではない
参考文献