京都大学など、神経性過食症への認知行動療法の脳機能メカニズムを縦断解析で検証
千葉大学や京都大学などの研究チームは、神経性過食症に対する認知行動療法(CBT)の治療メカニズムを調べるため、全国6機関との共同研究によりCBT前後の脳機能を縦断的に解析したと発表した。
治療効果が報酬評価や視覚処理に関わる安静時脳機能の変化と関連している可能性や、治療前に身体知覚や認知制御に関わる脳機能が保たれているほど効果が得られやすい可能性が示されたとしている。
CBT前後の脳機能変化と治療効果との関連
千葉大学社会精神保健教育研究センターの須藤佑輔特任助教、同大子どものこころの発達教育研究センターの平野好幸教授、京都大学医学部附属病院の磯部昌憲助教らの研究チームは、神経性過食症患者を対象に、CBTの実施前後における脳機能を縦断的に解析したと発表した。全国6機関が参加する共同研究として実施された。
解析の結果、CBTによる治療効果は、報酬評価や視覚処理に関わる安静時脳機能の変化と関連している可能性が示された。また、CBTの実施前に身体知覚や認知制御に関わる安静時脳機能が保たれているほど、治療効果が得られやすい可能性があることも示唆された。
研究の位置づけと今後の活用
神経性過食症に対してはCBTが治療法の一つとして用いられているが、治療によって脳機能がどのように変化し、その変化がどのように治療効果と結びついているかについては、十分に明らかにされてこなかった経緯がある。研究チームは、全国6機関の協力のもとで患者を対象にCBT前後の脳機能データを収集し、縦断的な比較を行うことで、この点を検討した。
研究チームは、今回示された知見について、CBTが神経性過食症の患者の脳機能にどのような影響を与えているかを考える手掛かりになるとともに、治療の効果を得やすくするための準備として何が必要かを検討する材料になるとしている。その上で、CBTのプログラムの改良に資する基礎的知見となることが期待されるとの考えを示している。
事実関係の整理
- 情報の種類:学術研究(論文発表)
- 発表・研究主体:千葉大学社会精神保健教育研究センター、千葉大学子どものこころの発達教育研究センター、京都大学医学部附属病院ほか全国6機関
- 対象:神経性過食症患者
- 主要指標:CBT前後の安静時機能的結合(resting-state functional connectivity)の変化、治療前の脳機能と症状改善との関連
- 掲載誌:『Journal of Eating Disorders』(2026年9月15日公開、現地時間)
参考文献