武田薬品、葉酸受容体α陽性のプラチナ製剤抵抗性再発卵巣がん治療薬「エラヒア」の製造販売承認を日本で取得
武田薬品工業は、葉酸受容体α(FRα)陽性のプラチナ製剤抵抗性の再発卵巣がん(PROC)を対象とした抗体薬物複合体「エラヒア点滴静注100mg」(一般名:ミルベツキシマブ ソラブタンシン(遺伝子組換え))について、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。
同社によると、FRα陽性のPROCに対する治療薬として日本で承認された抗体薬物複合体(ADC)は今回が初めてであり、海外第3相試験であるMIRASOL試験、SORAYA試験、および国内第1/2相試験であるTAK-853-1501試験の結果に基づく承認となる。
FRα陽性の再発卵巣がんを対象に承認取得
武田薬品工業は、葉酸受容体α(FRα)に結合するモノクローナル抗体に、がん細胞を標的として設計されたメイタンシノイドペイロードDM4を切断可能なリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体(ADC)「エラヒア」について、「葉酸受容体α陽性の白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣癌」を効能又は効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。
承認の根拠となったMIRASOL試験は、FRα高発現(細胞の75%以上が2+以上の染色強度)のプラチナ製剤抵抗性の高異型度漿液性卵巣がん患者を対象としたオープンラベルの無作為化対照第3相試験で、化学療法による1~3ラインの治療歴を有する患者に対し、ミルベツキシマブ ソラブタンシン群と、治験責任医師が選択した単剤化学療法(パクリタキセル、ペグ化リポソームドキソルビシンまたはノギテカン)群とを比較した。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)および重要な副次評価項目である全生存期間(OS)について、ミルベツキシマブ ソラブタンシン群でベネフィットが示されたと報告されている。同試験で認められた眼、消化器系および末梢性ニューロパチーの有害事象は主として低グレードであり、投与中止に至った有害事象の発現頻度は、単剤化学療法群の16%に対しミルベツキシマブ ソラブタンシン群では9%であったという。これらのデータは、2023年12月に『The New England Journal of Medicine』誌に掲載された。
国内第1/2相試験であるTAK-853-1501試験の第2相パートにおいても、海外第3相試験のMIRASOL試験およびSORAYA試験と一貫した有効性および安全性プロファイルが示されたと報告されている。
卵巣がん治療における位置づけ
卵巣がんは、卵巣の表面や内部の様々な細胞から発生する悪性腫瘍で、約90%の卵巣がんに葉酸受容体αが発現することが報告されている。無症状のうちに進行している患者も多く、早期発見につながる検診などの有効な予防法は確立されていない。日本では2023年に1万2926例が卵巣がんと診断されたとされ、初回診断時にⅢ期・Ⅳ期の進行期で見つかることも多いとされる。標準治療であるプラチナ製剤を含む化学療法は初期には有効に作用することが多いが、やがて効果が乏しくなることが報告されており、プラチナ製剤の最終投与から6カ月未満で再発した場合はプラチナ製剤抵抗性再発と定義される。卵巣がんに対する一次治療の効果は高い一方で、80%以上の患者で進行・再発が認められるとされ、5年生存率はⅢ期が54.4%、Ⅳ期が45.2%と報告されている。
ミルベツキシマブ ソラブタンシンは、2026年9月時点で、FRα陽性のPROCに対する治療薬として米国や欧州連合(EU)を含む50以上の国または地域で承認されており、当該国・地域における事業に関する権利はAbbVie社グループが有している。武田薬品は、日本におけるミルベツキシマブ ソラブタンシンの開発および商業化に関する独占的ライセンス権を有していると説明している。
事実関係の整理
- 情報の種類:製造販売承認の取得に関する発表
- 発表元:武田薬品工業株式会社
- 対象:葉酸受容体α陽性のプラチナ製剤抵抗性の再発卵巣がん患者
- 製品名:エラヒア点滴静注100mg(一般名:ミルベツキシマブ ソラブタンシン(遺伝子組換え))
- 根拠試験:海外第3相試験(MIRASOL試験、SORAYA試験)、国内第1/2相試験(TAK-853-1501試験)
- 承認機関:厚生労働省
- 留意点:ミルベツキシマブ ソラブタンシンの日本国外における権利はAbbVie社グループが保有し、武田薬品は日本における独占的ライセンス権を有する
参考文献