藤田医科大学など、約60万人の東アジア人ゲノム解析で2型糖尿病の遺伝的特徴を解明
静岡県立総合病院リサーチサポートセンターの齋藤洸平客員研究員、藤田医科大学の寺尾知可史教授、中国医薬大学附設医院(台湾)のFuu-Jen Tsai教授らによる国際共同研究グループが、約60万人の東アジア人を対象とした2型糖尿病のゲノムワイド関連解析(GWAS)メタ解析を実施したと発表した。
東アジア人に限定した単一祖先集団の2型糖尿病GWASメタ解析としては、これまでで最大規模としている。ファインマッピング解析の結果、疾患に関連する遺伝シグナルの約7割が東アジア人と欧州人で共通する一方、脂質代謝や脂肪組織に関連する経路などで集団間の違いが認められたと報告した。
東アジア人における2型糖尿病の遺伝的特徴を確認
静岡県立総合病院、藤田医科大学、中国医薬大学附設医院(台湾)らの国際共同研究グループは、約60万人の東アジア人を対象とした2型糖尿病のGWASメタ解析を実施した。研究グループによると、東アジア人に限定した単一祖先集団の2型糖尿病GWASメタ解析としては、これまでで最大規模としている。
研究では、統計的検出力が同程度となる欧州人のGWASとの比較に加え、疾患に関連する遺伝領域を詳細に絞り込むファインマッピング解析を実施した。その結果、ファインマッピングで同定された遺伝シグナルの約7割が東アジア人と欧州人の双方に共通していることが確認された。一方、脂質代謝や脂肪組織に関連する経路などでは、2型糖尿病への相対的な寄与に集団間の違いが認められたと報告している。
研究グループは、これらの結果から、2型糖尿病の遺伝的・生物学的基盤の多くは祖先集団を越えて共有されている一方、共通する病態経路が疾患リスクにどの程度寄与するかには集団による違いがあることが示されたとしている。
静岡県立総合病院の臨床データと国際データの統合
本研究の特徴の一つは、静岡県立総合病院で構築された臨床コホートを活用した点にある。大規模なゲノム研究では、多数の参加者を対象とするために診断コードや自己申告に基づいて疾患を定義する場合があるが、本研究では専門医による臨床評価に基づく詳細な情報を活用し、日常診療から得られた臨床情報とゲノム情報を結びつけた日本人データを組み込んだとしている。
解析規模の拡大にあたっては、静岡県立総合病院のデータに国立長寿医療研究センターの対照群データを統合し、日本人GWASの規模を拡大した。このデータを台湾のデータおよび既存の大規模な東アジア人GWASと組み合わせることで、約60万人規模の東アジア人GWASメタ解析へと発展させたとしている。研究グループは、一つの病院で患者の協力のもとに得られた詳細な臨床情報とゲノム情報を、国内外の大規模データと結びつけ、国際的な規模の2型糖尿病研究へと発展させた点を、本研究の特徴の一つとして挙げている。
事実関係の整理
- 情報の種類:国際共同研究によるGWASメタ解析
- 発表主体:静岡県立総合病院、藤田医科大学、中国医薬大学附設医院(台湾)
- 対象:約60万人の東アジア人(2型糖尿病患者と対照群)
- 主要手法:GWASメタ解析、ファインマッピング解析、欧州人GWASとの比較
- 主要結果:遺伝シグナルの約7割が東アジア人と欧州人で共通、脂質代謝関連経路などで集団差を確認
- 掲載誌:Communications Biology(2026年9月30日付オープンアクセス掲載)
参考文献