研究

東京慈恵会医科大学、患者経験価値(PX)のケースミックス調整モデルを国内初開発、調整後も病院間格差が残存

病気の克服を目指す研究動向。写真はイメージです。(写真:Adobe Stock)

 東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 臨床疫学研究部の青木拓也准教授と松島雅人教授の研究チームは、患者中心の医療の質を示す指標「患者経験価値(Patient Experience:PX)」について、国内で初めてとなる「ケースミックス調整モデル」を開発・検証した。

 全国83病院、1万3602名の入院患者データを分析した結果、年齢や健康状態といった患者背景の違いを統計的に補正した後も、病院間でPXスコアにばらつきが残存することが明らかになった。

患者背景を補正しても残る病院間のPX格差

 研究チームは、全国83病院から集めた1万3602名の入院患者データに基づき、患者経験価値(PX)を病院間で公平に比較するための調整モデルを構築した。このモデルは、年齢や健康状態など患者ごとの背景の違いがPXスコアに与える影響を統計的に補正する「ケースミックス調整」を行うものである。分析の結果、患者背景の違いを補正した後も、病院間でPXスコアにばらつきが存在することが示された。

PX評価の普及と公平な病院比較の課題

 PXは、患者中心の医療を評価するための世界標準の指標として位置づけられており、近年は国内でも導入が進んでいる。一方で、患者の年齢や健康状態といった背景の違いがPXスコアに影響を与えることから、病院間でPXを単純に比較することは難しく、公平な比較を行うには統計的な補正が必要であると指摘されてきた。

 本研究で開発されたケースミックス調整モデルは、こうした課題に対応するもので、国内で初めて構築・検証された。補正後も病院間の格差が残るという結果は、医療の質を評価する上で、患者背景以外の要因が関与している可能性を示すものとして位置づけられる。本成果は、医療の質改善に向けたデータ駆動型アプローチや、医療機関の説明責任の向上につながる基盤になることが期待されている。

事実関係の整理

  • 情報の種類:研究発表
  • 発表元:東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 臨床疫学研究部
  • 研究代表者:青木拓也准教授、松島雅人教授
  • 対象:全国83病院、入院患者1万3602名
  • 主要指標:患者経験価値(PX)、ケースミックス調整モデル
  • 掲載誌:International Journal for Quality in Health Care誌(2026年9月26日付)

参考文献


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