東京大学、孤発性脊髄性筋萎縮症でLRP12遺伝子のCGGリピート伸長を新規原因として発見
東京大学医学部附属病院脳神経内科と国立精神・神経医療研究センターの研究グループは、孤発性で発症する脊髄性筋萎縮症(SMA)の日本人8家系を解析し、このうち6家系でLRP12遺伝子のCGGリピート伸長を同定したと発表した。
LRP12遺伝子のCGGリピート伸長は、これまで主に眼咽頭遠位型ミオパチーの原因として知られていたが、今回の研究によりSMN1遺伝子の変異を伴わないnon-5q SMAの原因にもなり得ることが示された。
孤発性SMA8家系の解析で6家系にLRP12遺伝子の異常を同定
東京大学医学部附属病院脳神経内科の研究グループは、国立精神・神経医療研究センターの研究グループと共同で、孤発性で発症したSMAの日本人8家系を対象に遺伝学的解析を実施した。その結果、8家系のうち6家系でLRP12遺伝子のCGGリピートの伸長が確認された。研究グループは、この所見がSMN1遺伝子に変異を認めないnon-5q SMAの原因となり得ることを示したと説明している。
SMAの診療体制とnon-5q SMAが抱えてきた課題
SMAは、運動を司る脊髄前角の運動神経細胞が障害を受け、全身の筋力低下や筋萎縮を来す遺伝性の神経疾患である。SMAの多くはSMN1遺伝子の異常を原因とする5qSMAであり、この領域については核酸医薬や遺伝子治療薬、低分子化合物製剤が実用化されているほか、新生児スクリーニングの導入も進み、遺伝学的診断と治療が直結する段階に至っている。
一方、SMN1遺伝子に変異を認めないnon-5q SMAは遺伝学的に多様であり、原因が特定されない症例も少なくないとされてきた。LRP12遺伝子のCGGリピート伸長は、これまで主に眼咽頭遠位型ミオパチーの原因として知られており、SMAとの関連は明らかにされていなかった。今回の研究は、こうした背景の中でnon-5q SMAの原因究明に取り組んだものとして位置づけられる。
事実関係の整理
- 情報の種類:大学・研究機関による研究発表
- 発表元:東京大学医学部附属病院脳神経内科、国立精神・神経医療研究センター
- 対象:孤発性で発症した脊髄性筋萎縮症(SMA)の日本人8家系
- 主要所見:8家系のうち6家系でLRP12遺伝子のCGGリピート伸長を同定
- 掲載誌:米国神経学会(AAN)発行の学術誌『Neurology Genetics』(2026年9月23日付、米国東部時間)
参考文献