研究

大阪公立大学、電力使用データによるフレイルリスクと冬季の生活範囲・QOL低下との関連を報告

病気の克服を目指す研究動向。写真はイメージです。(写真:Adobe Stock)

 大阪公立大学の研究グループは、独居高齢者の家庭の電力使用データから算出したフレイルリスクと、生活範囲や健康関連QOL、身体機能との関連を季節別に検討した結果を発表した。

 冬季についてはフレイルリスクが高いほど生活範囲が狭く、健康関連QOLが低いという関連を支持する結果が得られた一方、他の季節や身体機能との関連を支持する十分な根拠は認められなかった。

冬季のフレイルリスクが生活範囲とQOL低下に関連

 大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科の辻中椋氏(博士後期課程3年)と樋口由美教授らの研究グループは、大阪市内の集合住宅に住まう独居高齢者を対象に、家庭の電力使用データから算出したフレイルリスクと健康関連指標との季節別の関連を検討した。2023年10月から2024年9月までの12カ月間の電力使用データから、起床時刻、就寝時刻、外出時間などの日常生活パターンに基づく「Frailty Risk Index」を月ごとに算出した。あわせて2024年10~11月に対面調査を実施し、生活範囲を「Life-Space Assessment」(LSA)、健康関連QOLを「EQ-5D-5L」、身体機能を「Timed Up and Go」(TUG)テストなどにより評価した。

 解析対象となった14名において、冬季のFrailty Risk Indexが高いほど、LSAで評価した生活範囲が狭く、EQ-5D-5Lで評価した健康関連QOLが低いという関連を支持する結果が得られた。一方、TUGで評価した身体機能との関連を支持する十分な根拠は認められなかった。また、春季、夏季、秋季については、Frailty Risk Indexと健康関連指標との関連を支持する十分な根拠は認められなかった。

フレイルと季節変動、電力データ活用の位置づけ

 フレイルとは、加齢に伴って心身の機能や生活する力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態を指す。筋力や体力の低下だけでなく、認知機能や気分、社会とのつながりなど、さまざまな要因が関係するとされる。高齢者の身体・精神機能には季節変動がみられることが知られているが、フレイルリスクと健康関連指標との関連が季節によって異なるかについては、これまで十分に明らかになっていなかった。

 本研究で用いられたFrailty Risk Indexは、中部電力株式会社が開発したAIシステム「e-Frail Navi」により、独居者の家庭の電力使用データから日常生活パターンを解析し、フレイルリスクを0~100点で算出するものである。得点が高いほどフレイルリスクが高いことを示す。日常的に蓄積される電力使用データを用いる手法は、対面調査に依存せずにフレイルの季節性変化を継続的に把握するための補完的な方法となる可能性が今回の結果から示された。本研究は、国土交通省の「令和6年度 共創・MaaS実証プロジェクト」に採択された「スマートモビリティ×スマートエイジングシティ共創実証プロジェクト」の一環として実施された。

事実関係の整理

  • 情報の種類:研究発表(学術論文)
  • 発表元:大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科
  • 対象:大阪市内の集合住宅に住まう独居高齢者14名(解析対象)
  • 主要指標:Frailty Risk Index(電力使用データに基づくフレイルリスク指数)、Life-Space Assessment(生活範囲)、EQ-5D-5L(健康関連QOL)、Timed Up and Go test(身体機能)
  • 留意点:冬季以外の季節および身体機能との関連を支持する十分な根拠は認められておらず、解析対象数も限られている

参考文献


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