研究

金沢大学、末梢血遺伝子発現パターンで早期膵がんの90%検出に成功

病気の克服を目指す研究動向。写真はイメージです。(写真:Adobe Stock)

 金沢大学の研究グループが、末梢全血の遺伝子発現パターンを用いることで、早期膵がんの90%を検出できたとする研究成果を発表した。

 従来の腫瘍マーカーCA19-9による検出率が10%にとどまったのに対し、末梢血の遺伝子発現パターンでは早期膵がん10例中9例を検出できたとしており、血液を用いた低侵襲な検査による早期発見の可能性を示す結果とされている。

末梢血遺伝子発現パターンで早期膵がんの90%を検出

 金沢大学医薬保健研究域医学系(消化器内科学)/先進予防医学研究科長の山下太郎教授、附属病院内視鏡センター長の鷹取元准教授、附属病院革新的膵がん医療研究開発センターの宮澤正樹助教らの研究グループは、末梢全血由来の遺伝子発現パターンによって早期膵がんの90%を検出することに成功したと発表した。研究グループはこれまでに開発してきた末梢全血由来の遺伝子発現パターンと、臨床で広く用いられている腫瘍マーカーCA19-9による早期膵がんの検出率を比較検討した。2020年から2024年に金沢大学附属病院を受診した膵がん患者253例のうち、早期膵がんと診断された10例を対象に解析した結果、腫瘍マーカーCA19-9では1例(10%)のみしか検出できなかったのに対し、末梢血遺伝子発現パターンでは9例(90%)を検出できたとしている。

早期発見が難しいとされてきた膵がんの位置づけ

 膵がんは日本における代表的な難治がんとされ、国立がん研究センターのがん統計によると2009年から2011年の5年生存率は8.5%と低く、最も悪性度の高いがんの1つとされている。膵がんは周囲臓器への浸潤や遠隔転移能力が高いため、多くが進行した段階で発見されることから、早期段階での診断が極めて困難であることが知られてきた。一方で、早期に発見され根治的な治療を受けた場合には5年生存率が85%以上に達する可能性が報告されており、早期発見が予後改善の鍵になるとされている。

 今回の研究は、こうした早期診断の難しさを踏まえ、血液を用いた低侵襲な手法によって早期膵がんを検出できるかを検証したものであり、従来から臨床で使われてきた腫瘍マーカーとの比較を通じて、末梢血遺伝子発現パターンの検出性能を確認する位置づけにある。

事実関係の整理

  • 情報の種類:研究発表(学術論文)
  • 発表主体:金沢大学医薬保健研究域医学系(消化器内科学)/先進予防医学研究科・附属病院内視鏡センター・附属病院革新的膵がん医療研究開発センターの研究グループ
  • 対象:2020年から2024年に金沢大学附属病院を受診した膵がん患者253例のうち、早期膵がんと診断された10例
  • 主要結果:末梢血遺伝子発現パターンによる検出率90%(10例中9例)、腫瘍マーカーCA19-9による検出率10%(10例中1例)
  • 掲載誌:国際学術誌『Scientific Reports』オンライン版(2026年7月15日午後6時、日本時間、掲載)

参考文献


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