理研など、110歳以上のスーパーセンチナリアンでCD4陽性キラーT細胞が増加する超高齢期免疫の再編成を報告
大阪大学、慶應義塾大学、理化学研究所からなる共同研究グループが、110歳以上のスーパーセンチナリアンに多くみられる免疫細胞を解析し、超高齢期におけるT細胞免疫の再編成を示す兆候を明らかにした。
0歳から110歳代までの幅広い年代の単一細胞データをAIモデルで統合的に解析した結果、CD4陽性キラーT細胞が100歳代以降で増加する傾向が確認された。
100歳代以降でCD4陽性キラーT細胞が増加
大阪大学蛋白質研究所の橋本浩介准教授、慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターの新井康通センター長、理化学研究所生命医科学研究センタートランスクリプトーム研究チームのピエロ・カルニンチチームディレクターからなる共同研究グループは、センチナリアン(100歳以上)に多くみられるCD4陽性キラーT細胞を詳しく解析した。センチナリアンの長寿者から得た単一細胞データを軸に、大規模な公開データを加えて解析対象を0歳から110歳代まで広げ、AIモデルを用いた統合的な解析を実施した。
その結果、CD4陽性キラーT細胞は90歳代までは低い割合にとどまり、100歳代以降で増加する傾向が示された。また、増加した細胞は疲弊状態を示さず、同じクローンに由来する細胞であっても多様なサイトカイン応答を示すことが分かった。
超高齢期免疫研究における位置づけ
T細胞免疫は加齢に伴って変化することが知られており、高齢期に特有の細胞集団の増減が報告されてきた。今回の研究は、これまで解析対象として扱われることが少なかった100歳代以降、特に110歳以上のスーパーセンチナリアンを含む超高齢層に焦点を当て、0歳から110歳代までを連続的に捉えることで、加齢に伴う免疫細胞組成の変化を広い年代の連続性の中に位置づけようとした点に特徴がある。
CD4陽性キラーT細胞は、通常は免疫応答を補助するCD4陽性T細胞の中でも、標的細胞を直接傷害する性質を持つ集団として知られる。今回の解析では、この細胞集団が90歳代までは目立たない一方、100歳代以降で増加する傾向が確認され、超高齢期特有の免疫再編成を示す一つの兆候として位置づけられた。増加した細胞が疲弊状態を示さず、多様なサイトカイン応答を保っていた点も、加齢に伴う免疫機能の単純な低下とは異なる様相を示すものとして整理される。
事実関係の整理
- 情報の種類:研究発表(単一細胞解析)
- 発表元:大阪大学蛋白質研究所、慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター、理化学研究所生命医科学研究センター
- 対象:0歳から110歳代までの単一細胞データ(センチナリアンの長寿者データを含む)
- 主要所見:CD4陽性キラーT細胞が100歳代以降で増加し、疲弊状態を示さず多様なサイトカイン応答を示した
- 留意点:詳細は大阪大学ResOUのホームページで公開されている
参考文献