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厚労省実証で整理された湘南鎌倉の外国人医療受入れモデル──湘南鎌倉総合病院によるベトナム富裕層向け検証

日本の医療制度と最新動向。写真はイメージです。(写真:Adobe Stock)

 厚生労働省「地域の医療・観光資源を活用した外国人受入れ推進のための調査・実証事業(令和6年度事業結果の概要)」から、湘南鎌倉地域におけるモデル実証事業の内容を整理する。

 本事例では、ベトナム富裕層を主対象に、医療・観光を組み合わせた滞在プランの造成から、現地調査、プロモーション、実販売までを一連の流れとして検証した。


事業全体の位置づけ

 湘南鎌倉地域の取組は、滞在プラン造成に先立ち、ベトナム市場における医療渡航ニーズの把握と、販売経路の確立を重視して進められた点に特徴がある。

 国内では、湘南鎌倉総合病院、鎌倉市、宿泊・観光事業者による既存の地域連携協議会を基盤とし、毎月の定例会を通じて本事業の方針共有と進捗管理を行った。

今年度に実施した主な取組

① 連携体制の強化

 国内では、医療機関、行政、宿泊・観光事業者、仲介事業者が参加する定例会を月1回開催し、事業方針や役割分担について継続的な協議を行った。

 海外では、ベトナムにおいて富裕層ネットワークを有する企業や旅行代理店との連携を強化し、ニーズ調査、販促、販売に向けた体制構築を進めた。

② ベトナム市場におけるニーズ調査

 神奈川県がハノイで開催する「KANAGAWAフェスタinハノイ」において、日本への医療渡航に関するアンケート調査を実施し、医療・観光への関心や情報ニーズを把握した。

 あわせて、ベトナムの富裕層関連企業4社に対し、ハノイで対面ヒアリングを行い、医療渡航に対する期待や懸念点を具体的に収集した。

 これらの結果は、滞在プラン内容や情報発信方法の見直しに反映された。

③ プロモーション(HP・動画制作、商談会)

 潜在顧客の理解促進と購入導線の確立を目的に、「ウェルネスツーリズムin 湘南鎌倉」を紹介する専用HPおよびプロモーション動画を制作した。

 動画は約3分とし、湘南鎌倉総合病院での健診の価値、日本の医療への安心感、鎌倉の文化・歴史、リゾートホテルでの滞在価値を、ベトナム語で伝える構成とされた。

 2025年2月には、ハノイのホテルで商談会を開催し、約50名のベトナム富裕層を招待した。滞在プランの説明、医師による講演、医療・宿泊・観光別ブースでの個別相談を実施した。

④ 実販売への取り組み

 商談会では1名から具体的な申込があったが、渡航スケジュール上の制約により受入れには至らなかった。

 一方で、価格帯や情報量、信頼性のある販路を通じた販売の重要性が、実販売フェーズを通じて明確になった。

滞在プランの概要(湘南鎌倉)

  • 商品名:ウェルネスツーリズムin 湘南鎌倉
  • 対象:ベトナム富裕層
  • 期間:3泊4日
  • 価格:2,400,000円~/人
  • 医療:湘南鎌倉総合病院での健診(PET-CT、内視鏡等)
  • 宿泊:リビエラリゾート マリブホテル
  • 観光:鎌倉観光(寺社仏閣、文化体験)

 健診結果は翻訳のうえ提供され、帰国後のフォローアップも想定された構成となっている。

今年度の取組から得られた示唆

  • 日本での健診はベトナム富裕層にとって一定のステータス性があるが、具体的な渡航・受診の流れは十分に理解されていない。
  • 高価格帯プランは購入障壁が高く、宿泊・健診内容に選択肢を持たせた複数価格帯設計が必要とされた。
  • HPや販促物には、医療内容だけでなく、日本の医療機関のルール、言語対応、マナー、支払い方法などの基礎情報を含める重要性が示された。
  • ベトナム富裕層はクローズドなネットワークを持つため、信頼関係を基盤としたBtoC販路構築が不可欠である。

参考文献

地域の医療・観光資源を活用した外国人受入れ推進のための調査・実証事業 令和6年度事業結果の概要(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/001476945.pdf


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