平成30年政府の訪日外国人医療対策──在外公館で設計された旅行保険加入促進の位置づけ
「JPNMEDICAL」は、日本の医療をめぐる動向を中立に整理して伝える。制度、統計、研究、医療提供体制、医療機関の運用、国際的な動きも対象に含める。今回の記事で伝える情報は次の通り。
概要
日本政府の「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策」(訪日外国人に対する適切な医療等の確保に関するワーキンググループ、平成30年6月14日)は、取組1「日本への入国前の対応」の最初に、取組1-1「在外公館等における旅行保険加入の促進」を掲げた。日本入国前の段階で在外公館等において、補償額や付帯サービスが十分な旅行保険加入を勧奨し、あわせて日本入国後にスマートフォン等で加入できる旅行保険の周知も行うとしている。
取組のポイントとして、2018年度中に各在外公館のホームページへ旅行保険加入を勧奨する情報を掲載すること、在外公館でポスター掲示とチラシ配架を行うこと(同年度中に訪日旅行客数の多い20カ国での実施を目指す)、外務省ホームページの訪日旅行者向けページへの掲載、各在外公館から各国政府へ訪日外国人への保険加入勧奨の案内を行うよう働きかけること、在日公館にも同様の情報発信を働きかけること(同年度中に訪日旅行客数の多い20カ国での実施を目指す)が列挙された。
外務省と観光庁の対応として、複数の大手損害保険会社の協力を得て、到着空港等で加入可能な新たな保険商品の販売が実現したこと(外国人旅行者自身がスマートフォン等から加入できるインターネット加入専用保険)、観光庁が海外旅行保険加入促進のチラシを作成し、全国の宿泊施設・観光案内所等に配付して周知を図ることが示された。現状と課題としては、訪日外国人旅行者の27%が保険未加入(平成29年度の観光庁調べ)であること、在外公館等における保険加入の勧奨が実施できていないことが挙げられている。
背景
総合対策の取組1は、旅行保険加入の促進を、入国前・移動中・入国時・訪日前に参照されやすい媒体・到着後の接点などに分解して並べている。取組1-1は、その中でも「在外公館等」による情報発信を入口に設定し、ホームページ掲載、ポスター掲示、チラシ配架、各国政府や在日公館への働きかけといった手段を具体化している。
同じ取組1には、JNTO現地事務所等を通じた海外旅行エージェントへの働きかけ(取組1-2)、航空機内・クルーズ船内での周知方法の検討(取組1-3)、入国審査場でのモニター・サイネージ等の活用(取組1-4)、外国語ガイドブックや訪日前に閲覧されるホームページ等での周知(取組1-5)などが並ぶ。取組1-1は、これらと並行して「公的窓口に近い接点」での周知を担う設計となっている。
また、取組1には、妊娠・出産で医療を必要とする場合の実態把握や周知(取組1-7)、ガイドブックにおける医療情報の正確性の確保(取組1-8)、感染症対策の強化(取組1-9)も含まれる。旅行保険加入促進は繰り返し示される一方で、保険の適用範囲に限界がある領域や、医療情報の正確性といった論点も同時に扱う構成となっている。
事実関係の整理
- 情報の種類:行政・制度
- 公表元:訪日外国人に対する適切な医療等の確保に関するワーキンググループ(日本政府)
- 公表日:2018年6月14日(平成30年6月14日)
- 対象:取組1-1「在外公館等における旅行保険加入の促進」
- 対象期間:2018年度中(取組のポイントとして記載)
- 根拠:『訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策』
- 主要指標:旅行保険の加入状況、在外公館等での周知施策
- 主要な数値:訪日外国人旅行者の27%が保険未加入(平成29年度観光庁調べ)
参考文献
外務省「訪日旅行者に向けたページ」
http://www.mofa.go.jp/j_info/japan/general/index.html
『訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策』(訪日外国人に対する適切な医療等の確保に関するワーキンググループ、平成30年6月14日)