研究

東北大学の治療薬候補「MA-5」 第2相の医師主導治験を開始へ 難聴を伴うミトコンドリア病患者が対象

病気の克服を目指す研究動向。写真はイメージです。(写真:Adobe Stock)

 東北大学は、ミトコンドリア病治療薬候補「Mitochonic acid-5(MA-5)」について、難聴を有するミトコンドリア病患者を対象とする医師主導第Ⅱ相臨床試験を実施すると発表した。

 試験は2025年12月から国内4医療機関で開始予定とされ、プラセボ対照・二重盲検・多施設参加型の探索的第Ⅱ相として、有効性、安全性、薬物動態を評価する計画と説明されている。



MA-5の医師主導第Ⅱ相試験を2025年12月に開始予定

 東北大学、順天堂大学医学部附属順天堂医院、国立病院機構東京医療センター、自治医科大学、AMED、杏林製薬は、東北大学が開発したミトコンドリア病治療薬候補「Mitochonic acid-5(MA-5)」の医師主導第Ⅱ相臨床試験を2025年12月から国内4医療機関で開始すると発表した。対象は難聴を有するミトコンドリア病患者とされる。

 試験はプラセボ対照、二重盲検、多施設参加型の探索的第Ⅱ相として実施され、MA-5のミトコンドリア病症状および聴力に対する有効性、安全性、薬物動態を探索的に評価するとしている。治験期間中は異なる量のMA-5またはプラセボを服用し、患者と担当医の双方に割付が知らされない設計と説明されている。

 発表では、MA-5が動物実験やヒトiPS細胞由来内耳細胞を用いた研究で、ミトコンドリア病ならびに加齢性、騒音性、薬剤性などの難聴モデルに関する所見が示されてきたこと、AMEDの支援を受けた健常人対象の第Ⅰ相臨床試験が終了し、安全性と薬物動態が確認されたことを挙げている。

ミトコンドリア機能異常と難聴をめぐる説明とMA-5の位置づけ

 発表は、ミトコンドリアが生命活動に必要なエネルギー(ATP)の約95%を産生し、機能異常によりATP産生が低下すると全身の臓器障害としてミトコンドリア病を引き起こすと説明している。ミトコンドリア病ではビタミン剤の内服などが行われてきた一方、臓器障害は進行性で有効な治療薬がないとしている。

 難聴についても、ミトコンドリア機能異常が加齢性難聴、騒音性難聴、薬剤性難聴に関与することが知られているとし、WHOの記載として65歳以上の人口の30~40%が難聴によりハンディキャップを有していると説明している。難聴に対する治療薬がない現状を踏まえ、ミトコンドリア機能に作用する治療薬開発の考え方が示されている。

 MA-5は、ミトコンドリア内膜のクリステ構造を維持するタンパク質「ミトフィリン」に結合し、ATP合成酵素複合体の重合を促進してATP産生効率を高めるメカニズムをもつ化合物と説明されている。複数のミトコンドリア病患者由来細胞やミトコンドリア機能異常マウス、難聴モデル、iPS細胞由来内耳細胞を用いた研究での所見を踏まえ、今回の第Ⅱ相試験に至ったとしている。

事実関係の整理

  • 情報の種類:研究(治験開始の発表)
  • 公表元:東北大学、順天堂大学医学部附属順天堂医院、国立病院機構東京医療センター、自治医科大学、AMED、杏林製薬(連名)
  • 公表日:2025年11月19日
  • 対象:ミトコンドリア病治療薬候補「MA-5」の医師主導第Ⅱ相臨床試験(難聴を有するミトコンドリア病患者)
  • 対象期間:2025年12月から開始予定(治験期間の長さは提示本文からは確認できない)
  • 主要指標:有効性(ミトコンドリア病症状、聴力)、安全性、薬物動態
  • 主要な数値:国内4医療機関で実施
  • 留意点:探索的第Ⅱ相としての評価であり、承認可否や適応の扱いは本試験のみからは確定しないと整理できる。

参考文献

世界初のミトコンドリア病治療薬「MA-5」の第Ⅱ相臨床試験を開始―難聴を有するミトコンドリア病患者を対象―
https://www.amed.go.jp/news/release_20251119.html

Mitochonic Acid 5 Binds Mitochondria and Ameliorates Renal Tubular and Cardiac Myocyte Damage
https://doi.org/10.1681/ASN.2015060623

Mitochonic Acid 5 (MA-5) Facilitates ATP Synthase Oligomerization and Cell Survival in Various Mitochondrial Diseases
https://doi.org/10.1016/j.ebiom.2017.05.016

Non-DNA-damaging DNA-PK activation improving hearing and prolonging life due to NAD+ and SIRT upregulation(bioRxiv, 2025 Apr 25)
https://doi.org/10.1101/2025.04.18.649305


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