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厚労省実証で整理されたカンボジア向け外国人医療受入れモデル──八王子・東京周辺で検証された健診・ウェルネス型事例

日本の医療制度と最新動向。写真はイメージです。(写真:Adobe Stock)

 厚生労働省「地域の医療・観光資源を活用した外国人受入れ推進のための調査・実証事業(令和6年度事業結果の概要)」から、カンボジアを送出国とするモデル実証事業の内容を整理する。

 本事例では、八王子・東京周辺地域を受入地とし、健診・リハビリ・観光を組み合わせた滞在プランについて、市場調査からプロモーション、体制構築までを段階的に検証した。


事業の位置づけ

 本事業では、滞在プランの造成や販売経路確立を目的に、カンボジアにおける市場調査と体制構築を先行して実施した上で、ニーズ調査およびプロモーションに取り組んだ。

 受入地域は八王子および東京周辺であり、健診・リハビリ施設を核としたウェルビーイング型の医療ツーリズムを想定した点が特徴である。

今年度に実施した主な取組

① 連携体制の構築・強化

 地域内の連携体制は事業開始時点で一定程度構築されており、これを基盤として、地域関係者とデロイトによる連携協議会を2回開催した。

 第1回は地域とデロイト間、第2回は地域・デロイト・八王子市役所が参加し、事業の方向性や役割分担、KPI設定について協議が行われた。

② ニーズ調査(中間層・富裕層)

 カンボジア国内では、主に中間層を対象としてイオンモールでアンケート調査を実施した。その結果、当初設定していた価格帯では中間層には需要が限定的であることが示唆された。

 また、旅行や医療渡航の情報源として、口コミや紹介の影響が大きいことが確認され、マーケティング手法に関する示唆が得られた。

 一方、高所得層を対象にSunrise Japan Hospital(SJH)で実施したアンケートでは、中間層とは異なる消費行動や関心が確認され、富裕層向けにプロモーションを絞り込む必要性が明確となった。

③ プロモーション施策

 プロモーションはオンライン・オフライン双方から実施された。SNS広告ではFacebook広告を中心にモニター募集を行い、一定数のリードを獲得した。

 また、在カンボジア日本大使館でのイベント出展、イオンモールでのアンケート調査と併せたリード獲得、SJH駐車場での看板広告掲示など、多様な接点づくりが試みられた。

 SJHでのアンケート結果を踏まえ、より富裕層に訴求するため、ビジュアルを重視したプロモーションビデオ(1分版・5分版)も制作された。

④ 市場環境の整理

 カンボジアでは今後人口増加と高齢化が進むと見込まれており、健診対象となる年齢層の拡大が想定される。

 一方で、現時点での医療渡航先はタイやシンガポールが中心であり、日本は医療渡航先として十分に認知されていない状況にあることが確認された。

滞在プランの概要(カンボジア向け)

  • コンセプト:健診・リハビリ・温泉療養を軸としたウェルビーイングツアー
  • 対象:カンボジア人富裕層(40代以上、世帯所得USD35,000以上)
  • 期間:5~6日間
  • 価格:100万円/人(航空券除く、実証時はモニター価格50万円を想定)
  • 医療:北原RDクリニック、北原国際病院等での健診・医療対応
  • 宿泊:八王子エリアのホテル
  • 観光:高尾山、東京観光、日本文化体験等

今年度の取組から得られた示唆

  • 中間層と富裕層では、医療渡航に対する予算感や購買の決め手が大きく異なっていた。
  • 広く訴求するプロモーションよりも、ターゲットを絞った接点づくりが有効であることが確認された。
  • SNS広告は一定の反応を得たが、価格面でのハードルが高く、購買には至らなかった。
  • カンボジア現地の旅行代理店や医療渡航支援企業との連携が、今後の実販売に向けた重要な論点と整理された。

参考文献

地域の医療・観光資源を活用した外国人受入れ推進のための調査・実証事業 令和6年度事業結果の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/001476945.pdf


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